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アストルティア薬草学 補講 【油と水の瀬戸際で。】

2017/09/14 08:34 ジャンル: Category:アストルティア薬草学
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 こんにちは!
 気がつけばもう9月も一週間経ちました。早いものですね。窓際で秋の夜風を感じながらうたた寝するのが、何故か日課になりつつあります。

 アストルティア薬草学研究所に水車を設置いたしました!できたら小川みたいなのもあるといいのですけれども、これはこれで見ていて飽きないものです。


 井戸の家も素敵なのですけれどね。


 研究所っぽくはないかな…なんてね。


 さて、本日の講義は薬草は取り扱いませんが、薬草や薬などを扱う上での基礎となるお話です。
 皆様にとっても身近なビタミン類を題材にしています。






1.世界を二分してみる。

 私達の身の周りにある全てのものは「原子」、原子が集まった「分子」、分子を巧みに組み合わせた物質で構成されています。薬や薬草の中の有効成分も、もちろんこうした分子です。
 薬を作ったり研究したりしている方々にとって、こうした物質の持っている性質を知ることはとても重要なことです。時にはその性質を利用し、時には欠点を別の物質で補いながら効果的に治療に役立てられるかを考えているのです。

 ここで、世の中の物質をその性質で二つに分けてみましょう!


 一つは「水」。


 …多分、水。


 もう片方は「油」です。


 (※この後スタッフが適切に浄化いたしました。)


 皆様ご存知の通り、油と水は混ぜてもお互いに溶けることなく、分離してしまいます。これは水と油がある物質の性質において、正反対に位置するために混ざり合わないのです。
 その性質は「親水性」と言われているもので、これと逆の性質を表す言葉が「疎水性」です。水と親しいから親水、水を疎むから疎水ということなのです。
 つまり、
《親水性が高い》=《疎水性が低い》
《親水性が低い》=《疎水性が高い》

 と言うことになるので、ひとまず親水性で統一して今回はお話ししていきます。

 物質を水と油に分類したとき、水のグループに属する物質は「親水性が高い物質」となり、油のグループに属する物質は「親水性が低い物質」となるわけです。この性質の特徴として、水は水のグループと、油は油のグループとで混ぜやすくなります。
 この親水性による分類は世界中で用いられているものです。油は油で数あれど、水は私達にとって身近なあの水でしかないわけで、水が全ての基準となっているのは少し面白いですね。


2.親水性による吸収の違い。

 私達が口から食べたり飲んだりしたものは、消化液により糖やアミノ酸、脂質のように細かく分解された物質として吸収されていきます。この「吸収」という過程で水と油による違いがどのように現れてくるのかを見てみましょう。

 そもそも、胃や腸などの食べ物を吸収する細胞だけでなく、私達の体を構成している細胞は「細胞膜」という油の膜を持っています。本当は油の膜の内側と外側は水の膜があるのですが、油の膜と比べると薄いため今回は無視しておきます。


 水色は水、緑色は油です。


 絵心なんてものは存在しない…。


 何で油の膜なのかというと、私達の身体の構成成分の60%は水で、細胞の中も水です。加えて、私達の生活の中で油を頭から被ることはそうそうありませんが、水に関しては雨やお風呂などで触れる機会があります。
 そのため、細胞膜はきちんと細胞の中と外の環境を隔てられるものでなければ、ぐちゃぐちゃに混じってしまうわけです。

 ではこの事がどのように吸収に関係してくるのか、というところですけれども。胃や腸で物質が吸収される方法は大きく分けて以下の3つです。

①細胞の膜を通過する。
②細胞の間を通過する。
③その物質専門の関所から通過する。


 ①では細胞膜が油でできた膜ですから、油はすんなりと通ることができます。逆に水はなかなか通ることができません。
 ②に関しては油も水も通ることができますが、そもそも細胞と細胞の間はとても狭く、ほとんどここからは吸収されません。
 細胞膜を通過できなくて困っている水を吸収する為に、細胞膜の要所に「吸収したい物質」専用の関所が設けられていて、そこから吸収されるのが③となります。吸収したい物質とはブドウ糖や水のグループのアミノ酸などの生命の維持において必要な物質の事です。

 もっと複雑な経路から吸収されるものや、せっかく細胞のなかに吸収されたのに外に放り出されるものまであるのですけれども、基本は上記のようになります。
 そして、吸収された物質は血管やリンパ管を通って身体中の細胞に運ばれていくのですけれども、そこでの吸収のされ方も同様なのです。

 つまり、油のグループは細胞に取り込まれやすく、逆を言えばなかなか身体から排泄されない。
 水のグループは細胞に取り込まれにくく排泄されやすい、という特徴が出てくるのです。


3.ビタミーン!

 サプリメントなどで摂っていらっしゃる方はもちろん、普段の生活の中で気を付けていらっしゃる方も多いであろう「ビタミン」にお話を移したいと思います。
 何故ここでビタミンなのか、というとですね、ビタミンは身体に必要な栄養素の中でもきれいに油のグループと水のグループのものに分けることができるのです。
 アミノ酸にも油や水のグループ分けはあるのですけれども、彼らはpH(酸性の強さ)で性質がコロコロと変わる浮気者なので今回は触れません。

 そもそも、ビタミンは私達の身体の中で直接エネルギーになったり身体を作ったりする訳ではありませんが、こうした生命活動を助ける効果を持っている物質です。
 身体の中では合成できないものも多く、食物などから摂取しなければいけないのが特徴のひとつですね。
 不足すれば「欠乏症」、過剰になると「過剰症」といった症状が出てしまいます。これは他の物質でも同じことですけれども。 

 では、それぞれのグループ毎にその特徴と役割を見ていきましょう!


☆水のグループのビタミン

 こちらの特徴としては、水のグループであるが為に関所を通らないとなかなか細胞の中に吸収されないので、過剰に摂取しても排泄されてしまうことが一つ。関所と言うくらいですからたくさん来ると渋滞してしまい、その間に流されていってしまうのです。
 この為、過剰症にはなりにくいと言われています。
 同じ理由で細胞の中に貯蓄されにくいので、小まめに摂取する事も重要になります。


◎ビタミンB1(チアミン)



◆過剰症:
◆欠乏症:神経障害(脚気、ウェルニッケ・コルサコフ脳症)
◆食品:豚肉やレバー、玄米など

 その昔、精製白米ばっかり食べていた日本の方々はこのビタミンB1が不足して「脚気」を発症してしまったそうです。
 糖分をエネルギーに変えるのに使われているビタミンで、不足するとブドウ糖しかエネルギーにできない脳や神経に障害が出てしまうのですね。
 アルコールの飲みすぎなんかでも不足するので注意です。


◎ビタミンB2(リボフラビン)

◆過剰症:
◆欠乏症:皮膚炎(口内炎など)、成長障害
◆食品:レバー、卵、納豆など

 身体の中の色々なところで使われている黄色いビタミン。欠乏症に「成長障害」なんてものが入っているくらいに、ヒトの生命維持に重要なのです。
 ただ、このビタミンB2に関してはあまり欠乏症にはならないのです。
 と言うのも、腸内にいる細菌達がわざわざビタミンB2をつくって、私達に提供してくれているからなのです。感謝しましょうね。


◎ビタミンB6(ピリドキシン)

◆過剰症:
◆欠乏症:皮膚炎、貧血
◆食品:穀物、香辛料、肉類など

 アミノ酸を加工するときに貢献しているビタミン。B6と同様に身体の中の至るところで使われているので不足しそうではありますが、やはり腸内細菌が作ってくれます。すごく優秀。
 不足すると鉄芽球性貧血という貧血の一種にもなりますが、大体の方は鉄分が不足している貧血なのであまり見かけないと思います。


◎ビタミンB12(シアノコバラミン)



◆過剰症:
◆欠乏症:貧血
◆食品:肉類、貝類など

 ちょっと風変わりな赤いビタミン。胃から分泌される相方と一緒じゃないと吸収されないので、手術なんかで胃を切除されている方は欠乏症になりやすいようです。
 植物には含まれていない物質なので、絶対に動物性の食品は食べないという確固たる心意気の菜食主義の方は、サプリメントなどで補給しないと欠乏してしまうので注意ですね。


◎葉酸

◆過剰症:
◆欠乏症:貧血、神経障害(出生児)
◆食品:動物の内蔵、ほうれん草など

 DNAや赤血球の合成なんかに使われているビタミンで、おそらく妊娠の経験をされている方はどこかで聞いたことがあるのではないでしょうか。
 妊娠時に欠乏してしまうと胎児に葉酸が十分に行き渡らなくなり、神経の形成に異常が出てしまいます。
 

◎ナイアシン(ニコチン酸、ニコチンアミド)



◆過剰症:
◆欠乏症:ペラグラ
◆食品:まぐろなどの回遊魚、肉類など

 別名に「ニコチン」という言葉が入っていますが、タバコのニコチンとは全くの別物です 。こちらも身体の中そこら中で世話しなく働いているビタミンの一つ。
 「ペラグラ」とは皮膚の荒れや下痢、さらには精神にまで障害が及んでしまう欠乏症です。身体の中で合成することができる珍しいビタミンですが、それだけでは足りないのでちゃんと摂取しましょうね。


◎パントテン酸

◆過剰症:
◆欠乏症:成長障害、手足の知覚以上
◆食品:何にでも?

 食品の項目を書くのが面倒になったわけではなく、様々な食品に広く含まれているビタミン。さらに腸内細菌も作ってくれるので、ほとんど欠乏症にはなりません。
 「パントテン」とは「どこにでもある」という意味のようで。そのわりには、身体の中で様々な栄養素を使うときに必要になるビタミンでもあったり。


◎ビタミンC(L-アスコルビン酸)



◆過剰症:
◆欠乏症:壊血病
◆食品:ピーマン、レモンなどの植物性食品

 みんな大好きビタミンC。摂取しようとしなくても加工食品に添加物として入っていたりします。実は無色で酸っぱくもない。
 コラーゲンの合成に必要になり、壊血病は血が壊れるというよりも血管が壊れることで起こります。鉄分を吸収しやすい形にするので、貧血が気になる方はビタミンCも一緒に摂取してくださいね。
 ブドウ糖を発酵させて作ることができるくらいで、多くの動物達は自分の身体の中で合成できます。…が、何故かヒトや霊長類は合成できないという。なんで?



☆油のグループのビタミン

 こちらのグループは水のグループとは異なり、細胞膜を通って細胞の中に貯蔵することができるビタミンです。
 …と言うと聞こえはいいですけれども、逆に言えば勝手に貯まっていくとも言えるので、過剰症に注意しなければいけないのも特徴。
 サプリメントを摂取する時は、食べ物との食べ合わせにも注意してくださいね。


◎ビタミンA(レチノール)



◆過剰症:催奇形性、頭痛
◆欠乏症:夜盲症、角膜の乾燥
◆食品:内臓類、にんじん

 主に目の光を感じる物質の原料になったり、細胞の分裂を助けたりしているビタミン。にんじんなどに多く含まれているβ-カロテンは身体の中でビタミンAになります。
 過剰症の催奇形性は妊娠されている方にのみ当てはまるもので、ビタミンAを過剰に摂取してしまうと胎児が奇形を起こしてしまいやすくなります。欠乏症の夜盲症はいわゆる「鳥目」と言うもので、夜に視力が落ちてしまうといった症状が現れます。
 ちなみにほとんどの鳥は鳥目にはならないそうで、鶏とかくらい。ケツァコアトル許すまじ。


◎ビタミンD(コレカルシフェロール)



◆過剰症:高カルシウム血症
◆欠乏症:骨粗鬆症(骨軟化症)、くる病
◆食品:しらすなどの小魚、あん肝

 カルシウムが小腸から吸収されるのを助けたり、骨の形成を助けるビタミン。身体の中で作ることもできるのですが、紫外線を浴びて、さらに肝臓と腎臓で加工されないとビタミンDにはなりません。
 欠乏症の骨粗鬆症はご存知の方も多いのではないでしょうか。骨が脆くなってしまう病気ですね。
 くる病は子供に起こる病気で、成長期にビタミンDが不足することで骨の成長が妨げられてしまい、変形してしまったりするというもの。紫外線は怖いですけれども、ある態度は外で遊ばないといけないのですね。


◎ビタミンE(トコフェロール)

◆過剰症:(出血しやすくなる?)
◆欠乏症:運動障害、神経障害
◆食品:魚卵、ナッツ類、植物油など

 油のグループに属しているにも関わらず、あまり身体に貯留しないため過剰症が問題にならない変わり者のビタミン。世間ではビタミンCの抗酸化作用が話題になりますが、この子も抗酸化作用を持ってます。
 体内の一部の脂肪分は「酸化」という反応が起きやすく、この酸化された脂質が貯まることで血管が固くなってしまったり細胞に障害が出てしまったりします。これを防ぐのが抗酸化作用ですね。
 余談ですけれども、ビタミンCやEを摂取して癌予防なんて話をたまに聞きますが、仮にリスクを減らすことはできたとしても完全に予防することはできません。彼らを甘く見ては駄目です。


◎ビタミンK(フィロキノン、メナキノンなど)

◆過剰症:
◆欠乏症:血液凝固障害(出血しやすくなる)
◆食品:葉もの野菜(しそ、ほうれん草など)、納豆

 腸内細菌や納豆菌が生成するビタミン。この為、欠乏症は起こりにくいものの腸内細菌が少ない新生児では欠乏症に注意が必要になったり。
 ちなみに過剰症も起こりにくいみたいですね。あれ、油のグループの1/2が過剰症ないじゃないですか…。
 出血した際に血液を固める物質が生成するのを助けていることは、もしかしたらご存知かもしれません。もう1つ、骨の合成にも関与しているビタミンで、ビタミンDの影に隠れてはいますが薬としても使われています。




 全てのビタミンを取り上げたのでけっこうな量になってしまいましたが、いかがでしたでしょうか。長い?ごめんなさい。
 ビタミンをサプリメントとして摂取する時、おすすめなのは1日の分量を1日3回の食事の際などで、分けて摂取する事ですね。朝に1日の分量を全部飲んだらオールオッケーとはいかず、水のグループは流れ出ていき、油のグループは過剰症のリスクが高くなります。


 今回は身近なビタミンを例に取り上げましたが、薬を作る時には水と油のグループ分けを考えながら作っている、ということを知っていただければ幸いです。

 それでは、本日はこの辺りで。長らくお付き合いいただきまして、ありがとうございました!




ビタミン類、食事から取れたらそれが一番です!

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